第7章 派生③おそ松&チョロ松END
「え……いや、そりゃ、俺も君と二人きりの方がいいけど……でも、こんなところに、
お、おそ松兄さん一人を残すわけには……」
どうしよう。最初から乗り気だ。
私がチョロ松さんのすそをもう一度引っ張ると、チョロ松さんはすんなりと私の隣の席に戻った。でもまだためらってるのか、車のドアは少し開けたまま。
私はかまわず、チョロ松さんの手に私の手を重ねる。
顔を近づけると、チョロ松さんは頬を赤くした。
「私、この旅行はチョロ松さんと二人きりが良かったです」
「ほ……本当に!?」
「もちろん。だって、おそ松さんはアレですが、チョロ松さんは私にずっと優しかった。
私のことを気遣って下さって、一番に考えてくれて。私……チョロ松さんのことが……」
「そ、そ、そうだよね! おそ松兄さんはクズだし、ヤルことしか考えてないし、×××だし、××××だし、しかも×××な上、×××××で――」
いや私は『アレ』としか言ってませんがな。
「ぼ、僕も、松奈が好きだよ」
「嬉しいです。私、チョロ松さんと二人きりで温泉に入りたい……。
二人で泊まって宿の人から『可愛い奥さんですね』とか言われたら……私……」
あ。シコ松さんの顔がゆでダコに。そういえば結婚願望あるんだっけ。
よし、もう一押し。私は腕をチョロ松さんの首に回し、キスをした。
「松奈……っ!!」
チョロ松さんが抱きしめてくる。いや、軽いキスのつもりだったんだけど!
想像以上に乗り気だ! 舌を……絡めて、こないで……。
恥ずかしくて周囲を気にしてる余裕もない。
「ん……ふ……う……」
しばらくして、糸を引いて唇が離れる。私はじっとチョロ松さんを見上げ、
「チョロ松さん。おそ松さんは丈夫だから、高速を走って帰れますよ。
二人で、このまま行きましょう……ね?」
「分かった。そう言ってくれるのを待ってたよ。二人で行こう!」
やったあー! 落としたあー!
あとは一人の美少女を巡って、二人の男が殺し合うのを高みの見物してればいいだけ。
二人の惨殺死体を差し出せば、一松さんも私を許してくれるはず!
「じゃあ、松奈。俺が運転するから、助手席に移って――」
「チョ~ロ~ま~つ~く~ん~?」
背筋が凍った。声はすぐそばから聞こえた。