第7章 派生③おそ松&チョロ松END
最善手は六つ子の憧れ、トト子さんを動かすことだけど、あの人、つきあいが
長いだけにガードも完璧なんだよなあ。
私のことは可愛がってくれるけど『スケープゴートとして』だし。
……ああ、六つ子の周囲ってクズしかいねえ。
どうすれば、どうすれば。
……。
「分かったよ。じゃあ俺だけ、ラーメンを食べてくるから。
チョロ松は松奈に何か買ってやって」
と、おそ松さんが車を出る。しかしシコ松さんに中指立て、
「チョロ松。俺がいない間に、イチャつくんじゃねえぞ」
「駐車場でやるわけないだろ。変な妄想、何とかしてよ」
いや、『イチャつく=S○X』ではないと思うんだけど。
あなたこそ、その変な妄想をどうにかしてほしい。
そしておそ松さんがブツクサ言いながらラーメン屋の方に去っていった。
残ったチョロ松さんはニコッと私に笑いかけ、
「じゃあ、俺たちも売店に行こうか。それとも車で留守番してる?
弁当におにぎりにサンドイッチ。ハンバーガー、チュロス、クレープ。アイスクリームも売ってるね、あのクロワッサンたい焼きとか、美味しそうじゃ無い?」
うーむ。迷うラインナップだなあ。
「じゃあ適当に買ってきてあげるよ。余ったらおそ松兄さんに処理させればいいし」
おそ松さんは残飯処理係か。
……いや、そうじゃない、そうじゃない。
クズ二人が首尾良く離ればなれになった。チャンスは今しかない。
頑張れ松奈! 悪女になりきるんだ。
「それじゃ、中で休んでて。危ないから勝手に出ちゃダメだよ」
と、チョロ松さんが車の外に出ようとして。
私はそのパーカーのすそを握る。
『ん?』と振り向いたチョロ松さんはけげんな顔。
「どうしたの? やっぱり、あゆの塩焼きがいいの?」
いや、そういう渋いのはちょっと――じゃない、じゃない!
「チョロ松さん」
もう一度、すそを引っ張った。チョロ松さんは何か意図があるのか気づいたようだ。
「な、何? どうしたの?」
「チョロ松さん」
私は口に手を当て、上目遣い。か、可愛く見えてる? 激しく不安であるが。
「このまま、二人で出発しませんか?」
二人を分裂させる。まあ、これしかないわな。
しかしそう簡単に引っかかるものなのか。