第7章 派生③おそ松&チョロ松END
一松さんはどうしたかって? 別れ話とか、すんなり合意したのかって?
もちろん、私は一松さんと別れる気はない。
全部バレてもいいから助けてもらおう、と考えるまで追い詰められていた。
が。私が一松さんに話をしようとした日。
『一松とは話をつけといたから! 大丈夫。分かってくれたよ!』
おそ松さんに先手を打たれた。
どう話をつけたかは知らん。いつぞや撮られた写真が悪用された可能性もある。
そのとき、一松さんは一言だけ言ったそうだ。
『いいよ。前からそんな気はしてたし』
それだけ。そ れ だ け で あ る 。
しかも一松さんは残りの六つ子にわざわざ、
『俺、松奈と別れたから。松奈はおそ松兄さんとつきあうことにしたって』
と、自分から報告。
あ然呆然の次男五男六男(と、驚いたフリをしてる三男)。
一松さんは、私について非難めいたことは一切言わなかった。
『俺もあまり彼氏っぽいことは出来なかったし。同じ顔ならおそ松兄さんの方が一緒にいて楽しかったんじゃない?』と無表情に分析。
あとはいつも通りに、散歩に出かけていったそうだ。
その後も、陰でグチグチ言われたり、つきまとわれたりといった事はゼロ。
私を寝取った形になる長兄とも、今まで通りに会話している。
反面、私との会話はあいさつ程度。
私との接触は極力避けるようになり、夜まで出歩くことが増えた。
一松さんと私は他人に戻ってしまった。
なぜ、そこまで平静なのか、怒ってさえくれないのか。
いやそこにショックを受ける時点で、最低女じゃないか私。
私のことを思ってくれてた一松さんが、どれだけ傷ついているか……。
ショックと同時に、罪悪感や自責の念も喚起されまくり、私は部屋で落ち込むことが増えた。
そんな私を思うでもなく、弟を気遣うでもなく、昨日おそ松さんはパンフを持って
私の部屋に無許可で飛び込み、
『よーし! これで一松ともちゃんと切れたし、お泊まり旅行に行っちゃおーっ!』
と、家中に聞こえる大声で言い放ちやがった。