第5章 かれしかのじょ
「いや・・・あの・・・うん。ごめん、遠慮しとく」
「結構です・・・なんですか、そのあり得ない組み合わせは・・・・・・それより、渚くん!」
「ふぇ?なーに?怜ちゃん・・・もぐもぐ・・・」
口いっぱいに頬張ったまま返事をする渚先輩。渚先輩のこういうところ、先輩だけどちょっと可愛いなあって思って、こっそり笑ってしまう。
「ヒカリさんに対してそういうのはもうやめた方がいいんじゃないですか?その・・・『あーん』とかは・・・」
そう言いながら怜先輩の顔が少し赤くなっていく。
「ふふ、それもそうだね!ヒカリちゃんの彼氏が怒っちゃうかもしれないもんね」
「ふぇぇ?!か、か、かか彼氏?!!」
江先輩の言葉に今度は私が赤くなってしまう。ただでさえ熱い顔がもっと熱くなっていく。
「そっかー。宗ちゃんってなんだか独占欲強そうだもんね!『俺のヒカリに手ぇ出すな!』とか言って」
「ふぇえ?!!ど、どくせん・・・お、おれの・・・」
宗介さんって独占欲強いんだろうか。まだ全然そんなのわかんないけど、きっとそんな風に強く想ってもらえたら私、すごく嬉しいと思う。それに『俺のヒカリ』なんて絶対そういうこと言わなそうだけど、言われたら私・・・私・・・・・・・・・・・・あれ?
・・・・・・・・・私って宗介さんの彼女、なの?確かに私と宗介さんは、さっき気持ちを確かめあった。宗介さんが私のこと好きって言ってくれて、私も宗介さんのこと好きって伝えて・・・
・・・えっと、でもそれで私が宗介さんの彼女ってことになるんだろうか・・・だって特に何も確認してないし・・・あ!でもほら、メールも電話もしていい、ご飯もまた食べに行こうって言ってくれた。それに、私が会いたいって言ったらいつでも会いに来てくれるって言った。『またな』って宗介さん、言ってくれたもん。
・・・そうだ!何より、私と宗介さんさっきたくさんキス、した。だから私は宗介さんの彼女・・・でも待って。そういうこと、付き合ってなくてもする人がいるって聞いたことがあるような・・・
「おーい、ヒカリちゃん?どうかした?」
渚先輩の声でハッと我に返る。
「あ、いえ、あの・・・」