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いちご☆恋模様 色々詰め合わせ

第4章 きみに会えてよかった おまけ


「・・・んだよ」
「・・・宗介さんにやきもちやかれちゃった!」
「ばっ!やいてねえよ!」

いつもはガキで何も気付かないくせに、どうしてこういう時だけ、こいつは鋭いんだろう。

ヒカリんちまではまだ距離があるし、このままの状態で歩き続けるにはあまりに俺に分が悪すぎる。



「あー・・・お前、バタ足で5メートルしか泳げないって、ホントか?」
「はい。あ!ビート板使えばもう少し行けますよ!」
「いや、そういうことじゃなくってな・・・小学生でももっと泳げるだろ」

とりあえずさっきのヒカリの話で気になっていたことを話題にあげてみる。からかうわけじゃないが、いくらなんでもバタ足で5メートルはないだろ、と思う。

「い、いいんです!マネージャーだし、江先輩だって泳げないって言ってたし!」
「それにしたってなあ・・・」

江のことはとりあえず置いといて、そんなんじゃいざという時に困るだろうし、何よりこれまでどうやって水泳の授業乗り切ってきたんだよ、などとぼんやり考える。

すると、ヒカリも何か考えるような表情になって、少ししてから口を開いた。


「・・・・・・でも・・・そうですね。確かにもうちょっと泳げた方がいいのかも。私も春には先輩になるわけだし」
「あ、ああ・・・まあ、そうだな」
「今度誰かに教えてもらおうかなあ・・・う〜ん・・・やっぱり真琴先輩かなあ。なんたって未来の指導者だし、何より優しいし!あ、凛さんや怜先輩なんかも教えるのうまそ・・・ふわああっ!」


・・・やっぱこいつなんもわかってねえ。

無邪気な顔して真琴とかの話してるヒカリも腹立つし、こんなことで感情を乱されてる自分自身にもなんだかムカついた。

その感情に任せて、空いてる方の手でヒカリの頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜてやった。


「な、なにするんですか?!もう、また髪の毛、ぐちゃぐちゃ・・・ひどいですよ、宗介さん!」
「っ・・・・・・ばか、お前・・・泳ぎ教えて欲しいんだったら、俺んとこ来ればいいだろ」


・・・こんなこと本当は言いたくない。だけど、こいつにははっきり言わなきゃ伝わらないんだから仕方ない。頬を膨らませ、髪を直しながら俺を見上げてくるヒカリの視線から逃げるように横を向きながら、ぼそりとそう言った。
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