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君と並んで歩く未来

第2章 神の舌


驚くほどの早業だった。フライパンを持って恐らく二分も経っていない

「……これは……!」
これにはえりなも驚いたのか目を見開いている。創真は何を作ったのか分かり、ニヤリと口角を上げた

「出来ました」
そう言いスっと盛りつけられたソレを出した

「『卵かけごはん』です」

創真のふりかけご飯に続き庶民の食べるような料理と呼べるかさえ微妙なソレ。えりなの逆鱗に触れた
「あなた……っ、馬鹿にしているの!?」
怒りに顔を歪める彼女に瀬凪は目を細め
「…創真の料理も馬鹿にしていましたが……」
スっと足を動かしえりなに近づく。その美しい顔が近づくことに同性でありながらもドギマギしてしまうえりな。目の前に立ちしっかりと目を合わせ
「食べなくては分からないですよ?創真のも、私のも」
挑戦的なその言葉に押されたのかグッと歯を食いしばる。そんな彼女を彼女の秘書である新戸緋沙子は心配そうな顔で見つめる

「…っ!食べなくてもわかります、そんな料理」
それでもやはりプライドが高いからか、彼女に言われて食べるなんてことしたくないのか、踵を返すえりな
「所詮二流料理人の仕事ね…全く食指が動かなかったわ」
その言葉に今まで黙ってことを見ていた創真がふりかけの入った皿を手に持ち
「この品の本当の姿はこれからなのに」
その言葉に引かれてかクルリとこちらを向き直し問いかける
「…どういう意味かしら」
その時彼女は気づいた。彼が持つふりかけの下に薄い金色で半透明の物体が敷き詰められていることに

「まあ見てなよ」
そういい徐にご飯の上にふりかけを落として行く
「仕上げだっ__」
落ちたふりかけと金色の物体はご飯の熱で溶けてひとつになっていく

最初とはまったく違うその見た目にえりなと緋沙子は驚く

これが
「化けるふりかけごはん………!?」
その濃厚な香りに引き込まれたのか
「…一口だけ、味見してさしあげます」
パサッと髪を後に払い
「し…審査してほしければさっさと器を寄越しなさい!」
その言葉に創真は口角を上げた

「おあがりよ!」
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