第4章 鍛練と迷宮
おまけにその男子は「惚れてもらっても付き合えません。ごめんなさい」だのなんだのと、皆がいる中で公言して晒すように断っておいて
惚れられたと思ったのが嬉しかったのか?そいつが余計に苦しむようにやってりゃ満足か?場所を変えて話す気も皆無か?
公言することで自分さえ巻き込まれなければ、いじめられなければ、いじめのターゲットにさえならなければ、そいつがどういう想いをしようが平気だってか?
そもそもいじめられてる光景を見ていながら、平気で遊んだり笑っていられるような奴に惚れるわけないだろうに!何考えてんだ!!
男子の中じゃ一番マシだったから「好きな人は誰?」って聞かれた時に答えただけだ!
だというのに後日になってからそういう目に遭わされるし!!
真相もろくに知らずに周囲は笑って事実であるかのように語り続けてきやがる!!!
私があの時泣いてたのだって、晒すように言って、人の気持ちもろくに考えずにへらへら笑ってるいじめっ子と周囲に傷付いたからだ!!
そうでなければあんな目に遭い続けながらも耐え続けて、それまで泣いたことさえもなかった自分が、涙なんて零すか!!流すか!!!
その後も2年経った後で、こいつに恋してるんじゃないの?好きじゃないの?って言ってこられる始末だったし。
そもそもそういう環境で惚れるか!!?それもいじめられてる奴がいる中でも平気で遊んで笑ってられるような奴に!!
自分さえ無事でいればそれでいいというような人間だとしか思えなかったぞ!!!
周りが何考えてんのかさっぱりわからん!おまけに100歳まで生きそうだのなんだのと言われるし!!
だから恋なんざろくなもんじゃないし、そもそも知りたくもないわ!!
そもそも一途で殊勝な奴なんて、それまで出会ったことえさえも一人としていなかったわ!
まあ…フィンなら確かに惚れるのもわかるかも。
必死に駆けつけてくれたし、実際に街の人達と私の間に入って護ってくれたし、涙を浮かべて震えるほど心配してくれたし…
何より、人格者だし…ああいう人に出会えて、恋ができたら幸せかも//
でもいずれにしても他の女性と一緒に居るのを見てイラついたこともないから…
恋はしてないな、まだ。
ということを語ると、「随分と苦労してきたのね」という言葉と共に
ぽんぽんっと女性達から肩を優しく叩かれた。