第60章 穏やかな日常
ケイト「ディオニュソス自身、自分で作り上げた『神酒』でずっと酔っていて、自ら正義の神だと暗示をかけていた。
だが…既に酔う前の時点から、少なくとも6年以上前からディオニュソスは狂っていた。
子供達が泣き叫ぶ姿が見たい。
そんな光景に興奮を覚える輩に成り下がっていた。そんな彼だからこそこんな目的を持った。
オラリオごと全て破壊すると――
6年前、27階層の悪夢から生還したのがフィルヴィスという点だが、実は生還者は一人もおらず皆死に絶えており
オリヴァスと同じく穢れた精霊に触れ、魔石を与えられ怪人になった。
そして怪人になるということは――自ら命を断とうにも意図せず再生してしまって死ねない身体となることを意味する
そして廃人になり、ボロボロの姿が18階層で目撃されてつけられた呼び名が【死妖精(バンシー)】。
二つ名の【白巫女(マイナデス)】があるにも関わらずな。
そんなフィルヴィスに、ディオニュソスは…
『嘆き、悲しみ、それでも誇り高く在ろうとするお前は美しい。
そうだ。
如何なる種族とも異なるお前を、お前自身が許さないというのなら――
他の人類を、お前と【同じ存在】にしてしまおう』
そしてフィルヴィスは自分を2つに分けることができる魔法を使って
表で動くそれをもとの人格、仮面の怪人は黒い人格を持ったものとして分け、仮面の怪人はエインと呼ばせていた。
そのように動いていたのは…ディオニュソスに縋ったが為…助けられたが故。
人造迷宮内に6体の「精霊の分身(デミ・スピリット)」を運び、精霊の「大秘術」を発動させてオラリオを吹っ飛ばし、古代のように地上をモンスターで溢れ返すこと。
それが、彼の夢となった。
更にもう一体別個の「精霊の分身」ニーズホッグをも地上に運び、精霊の分身6体を退治することで大秘術を防がれた際の保険とすること…
すなわち、第7の精霊として自爆させることも含めて。
地下で生まれた『穢れた精霊』から生み出された宝玉の胎児、そこから生み出されるのが「精霊の分身」…
穢れた精霊から生み出された宝玉の胎児から生み出された存在、すなわち分身に過ぎない。
怪人も同様に、意図せずして生み出された存在。
巨蟲(ヴィルガ)や食人花(ヴィオラス)や極彩色のモンスターもまた穢れた精霊から生み出された新種のモンスターだ」
