第4章 鍛練と迷宮
フィン「考え出したら止まらないタイプのようだね」
ヘファイストス「それでも、ダンジョンに入った人が多く助かるのなら…それに越したことはないわ」微笑
椿「主神様、同じことを考えついた者はおらんかったのか?」
ヘファイストス「おそらくいたことはいたでしょうけど、実現までは漕ぎ付けなかったでしょうね。
死のリスクが高いし、それまでに間に合う可能性も低い。
彼女の場合、案も具体的だから採用されるかもしれない」
アイズ「回復魔法を使える人が急患馬車に仕事として勤める」キラン
ケイト「いいね!b」キラン
リヴェリア「しかしその金を払うのはギルドだ。
もし実現しなかった場合はどうするつもりだ?」
ケイト「んー…その時は帰りに拾えばいい」
フィン「一人助けたらまた次々に増えるかもしれない。その可能性は考えているかい?」
ケイト「…んー…一応考えたけど;」
フィン「元々ロキ・ファミリアは恨みを買っている節が多い。
ただでさえ深層に突入して生還した実績もある。
それで夢見て突入して腕や足を失い、僕達のような者がいるから夢を見るのだと逆恨みをされることだってある。
それでも?」
ケイト「…助けられる相手がいるなら、できる状況ならば助けたい。
見ていながら、それを無視するのはできない。
助けられる力があるのに、人を失う哀しみを知っているのに…
それだけは…絶対に嫌だっ」震&涙目
拳を握り締めながら、涙が不意に滲んだ。
大切な人を失う哀しみは決して埋まらない。
日常に帰らなくてはいけなくとも、失った後の日々は非日常でしかなくて
何も手につかなくなって、その上さらに人殺しの汚名が、叱責が降り注ぐ。
姉を失った時がまさにそれだった。
育ての家族と共に過ごす内、少しだけ癒された。傷は未だ癒え切ってはいない。
それでもなお前に進んでいなけばいけない。進まなければ、上から見てくれている大切な人が心配する。
笑ってなんかいられなくなってしまう…だから、その為に進もうと決めた。
あの時の疾走は、失う痛みを知るからこその暴走だった。
育ての両親と妹が殺された時も同じで、自分さえいなければと考えた。
断末魔と共に涙が止まらず、気付けば記憶が飛んでて…そのお陰で精霊に助けられた。
だからこそ想う…
あんな痛みを味わう人を増やしたくないと――