第4章 意識してしまう
〜華美side〜
「せんぱ〜いっ!帰りましょ〜!!」
「あーごめん!今日、委員会で…」
「そうなんですか…じゃあ待ちますよ!」
「いや、いいよ。遅くなっちゃうから」
「じゃあ尚更です!!先輩1人で帰すわけにはいきません!」
「それは大丈夫だよ、まゆみ達と帰るし…」
「そう、ですか…気をつけて帰ってくださいね?」
「うん、ありがとう」
「それじゃあ、先輩、さよならです!」
「じゃあ、またね」
犬夜くんに手を振ってから、委員会の会議室へ向かう。
委員会があるのは本当なんだけど、実は眞由美と帰るってのは嘘なんだよね…。眞由美は予定があると言って、とっくに帰っていた。
この前、眞由美に言われてから、一度犬夜くんについて考えてみた。そうした結果、自分は犬夜くんのことが好きなんだと、自覚したんだよなぁ…
それからというもの、意識しちゃって、犬夜くんと目が合わせられなくなってしまった。さっきだって、話していたが、犬夜くんと目が合っていなかった。
告白も断っているし、どうしても言い出しにくくて…
「はぁ…」
思わずため息が漏れた。
それから、委員会が終わって、帰ろうと、門を出たときだった。
「へ?」
そこには、先に帰ったはずの犬夜くんがいた。