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駄犬になつかれて

第10章 おねだり


〜犬夜side〜

「ごめんね」
先輩はそう言って去っていこうとしている。

大きな声を出しているつもりなのに、オレの声は先輩には届かない。

先輩…!待ってください!
待って…!
やだ…待って…!!!



バサッ

「…っ」

辺りを見回すと、そこは自分の部屋のベッドの上だった。

「あ…れ?夢…?」

ガチャッ

「…あ、おはよう。気分はどう?」

そう言って部屋に入ってきた先輩。オレは額に手を当てられた。

「熱は下がったみたいだね〜!良かった良かった」

「…せんぱい…?」

思わず口に出てくる。

「ん?どうしたの?」

「あ、いや、なんでもない、です…」

俺は咄嗟にそう言った。
すると、先輩は不思議そうな顔をしながら、

「何かあるなら言ってね」

と言った。

さっきのは夢だとわかりホッとしていると、
先輩が部屋から出て行こうとした。

「あ、せんぱいっ、、」

先輩は振り返って、

「どうしたの?」

と首をかしげた。

「えっと、その、部屋から出ていかないで、ずっとそばにいてくれませんか…?」

先輩は一瞬戸惑っていたけど、

「わかった」

と言って、すぐにベッドのそばに来て座った。

「えっと…他に何かある?」

オレは訊かれた。

「じゃ、じゃあ…手、繋いでいいですか?」

「いいよ。」

ぎゅっと握った先輩の手は、オレと同じくらいに熱く感じた。

もしかして先輩もドキドキしてくれてるのかな…なんて思いながら。

気づいたらオレは、2度目の深い眠りについていた。
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