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おかえり〜I'm home〜(R18)

第10章 summer memory⑤





《summer memory⑤》


りおside



ーーー・・・



「は?何言ってんの・・・お前」

目を皿のように丸くした及川さんが私に放った言葉。
予想通り。わかるよ、その反応。

何言ってんの、ってなるよね。
だけどね・・・、

「今もそんなに、思いつめてさ・・・こんな・・・」

私の指で、及川さんの目の下に触れる。

「こんな大きなクマ作った人のこと・・・見過ごせなくて」

きっとずっと眠れてないんだろう。

奥さんのこととか、
お腹の赤ちゃんのこととか、
奥さんの体調のこととか、

裏切られたって、一度は生涯を共にしようと誓った人だ。
その事実は消えない・・・

だから、そんな辛そうな顔するんでしょ・・・?


「こんな及川さん、見てられない・・・。私なりに、考えた・・・どうすれば少しでも伝わるかなって・・・」

「・・・何が?」

「及川さんを・・・こんなに想ってるんだってこと・・・」


この選択が正しいかって言えば、それは正しくないでしょうよ。
だけど、自分の大切な人が弱ってる時、どうにか手を差し伸べてあげたい。包み込んであげたい。

その一心で私は言ってる。
私の想いで、少しでもあなたが救われてほしい。


私は及川さんの手を取り、自身の胸へと引き寄せた。


「わかる?めちゃくちゃ・・・緊張してるんだよ?」

「・・・・・・・・・」

「緊張してるってことは、冗談なんかじゃないってこと・・・っ・・・」

なんで・・・なんで今、泣きそうになっちゃうんだろう。
今泣きたいのは、及川さんだってば・・・・・・っ


「・・・だから、分かってほしい。あなたはひとりぼっちじゃないよ。私も、叔母さんも岩泉さんも・・・みんなあなたが大好きなんだよ・・・」


ぽろぽろと涙がこぼれる。あー、もう、なんでここで・・・
まだ、伝え足りないのに、嗚咽が混じって・・・うまく話せない。


「だ、から・・・代役なんて、なれないかもだけど・・・っ、私を・・・っ」

その時、及川さんの逞しい腕の中に引き寄せられた。

「及川さ・・・っ」

「馬鹿・・・」


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