第9章 無神ユーマ【野望】
「最近どーしたのかな?ユーマくん」
リビングでコウが呟く
「なんか....ぴりぴりしてる....ね」
アズサはナイフを手入れしながら言う
普段無神の兄弟は食事後リビングで各々くつろぐのが日課だった
だが、ユーマは食事にも顔を出さず
部屋にこもりきりだった
「ってゆーか!
家中、エム猫ちゃんの血の匂いが充満してて頭おかしくなりそうなんだけど!」
ユーマはこの3日間、学校にも行かず
ただ、ユイの血を吸っていた
「そうだね....凄い甘い匂いだ」
ユイの血は強力なため、2人も吸血衝動を抑えるのは大変だった
「でもさ〜、何でルキくんは何にも言わないんだろうね
いっつもなら絶対許さないのに」
ルキは今入浴中の為、聞かれる心配はない
「確かに....
でも....らんはずっとユーマの部屋に行ってるね
ユイさんのことも....心配してる....」
「案外タフだよね〜らんって」
「そうだね....でも、それがらんの良いところ、だと思う」