第9章 無神ユーマ【野望】
ー1時間前....ー
「ユーマ」
後ろからルキが歩いてきた
「よぉ」
「お前もまだ帰ってなかったのか」
学校はとうに終わっており、生徒はほとんど居なかった
長い廊下を歩く
「何してたんだ?」
ピクッ
ユーマは顔を背ける
「別に....ただ、庭に植えた野菜の世話を....な」
ルキはユーマの一瞬の動揺を見逃さなかった
が、それには触れないでおいた
(あ....そーいや、ルキにはまだらん達の事を言ってなかったな....)
ユーマが口を開こうとした時
「無理なのかも....しれないな」
ルキは突然言う
「あ?」
全く予測できなかった言葉に驚く
「俺達では....あの方の望みを叶えることは出来ないのかもしれない」
「!」
ユーマは驚いた....
こんな弱気なルキは初めて見たからだ
「ふざけんな!まだ時間はあるだろ!」
「ユーマ
お前も気付いてるのだろう?
俺達のような半端者では....
現にお前の....アダムの覚醒は起こっていないだろう」
「だったら、ルキは....諦めるって言うのかよ....!」
「決めるのはあの方だ。
だが....俺達が居ることであの女に無駄な情を湧かせることも目に見えている。
だから....俺は」
「黙れ!
俺はまだ諦めねぇ!」
ー俺には....大事な約束があんだよ....
それに....ユイは....ー
ユーマは早足でその場を去る
「おい!ユーマ!」
1人取り残されたルキは溜息をつく
「俺達では....アダムにはなれないんだ....」