第25章 家族
その間にも、レイジ達は階段をゆっくりと降り、私達の元に歩いてくる
「はぁ、全く。先程から見苦しいですよ、貴方達。ちゃんと、王としての威厳を持ってください」
「別にいいだろ。周りも嫁思いの王様としか思わない」
シュウはふっと笑い、私の肩を寄せる
「シュウっ!」
レイジはちらっと辺りを見て、苦笑する
「まぁ、確かに....虫除けくらいにはなりそうですね」
すると、レイジは表情を変え
シュウに向かい軽く頭を下げる
「シュウ。この度はこの様な宴を開いて下さり、ありがとうございます」
「まぁ、別に....」
シュウは少し照れたように頭を掻く
「改めて、結婚おめでとうございますレイジさん」
らんは笑顔で祝の言葉をかける
「えぇ」
その後レイジは妻と共に客人の挨拶に向かった
「あぁ。そうだ貴方」
「?」
レイジは思い出したように後ろを向く
「発表するなら、早くした方がよろしいのではないですか?」
「えっ」
「まだ、幼い為に気付く者は少ないでしょうが、成長すればその存在は誰にでも分かるようになる。この意味が分かりますね」
レイジはそう言い残し、挨拶に向かう
「........」
「レイジさんには....バレてるみたい」
らんは苦笑する
彼女のお腹の中には新しい命が芽生えていた
私達はまだその事を公開していない
なぜなら、二つの一族の血を受け継ぐこの子は魔力が強く、未来の後継者の命を狙う者も出てくるからだ
けれど、能力のあるヴァンパイアならばこの事に感付くのも時間の問題だろう
私は不安のあまり、自らのお腹を摩る
すると、私の手に大きな手が重ねられる
「大丈夫だ。あんたの事も、子供の事も....俺が絶対守ってやるから。そんな顔するんじゃない」
シュウは安心させるように私の頬にキスする
「ありがとう....シュウ」
シュウと私の子供....
私には一生持てないものだと思っていた
だからより一層、それは夢みたいで物凄く嬉しい