第25章 家族
その後、会場の中心でレイジと人間の女性は手を取り合い、華麗なダンスで辺りを魅了した
そして、2人は抱き合い、口付けを交わす
周りは騒ぎ立て
それには私も驚いた
一方シュウは
「ふっ、見せつけてくれるな」
レイジをからかう様に鼻で笑う
でも、シュウにだけは言われたくないだろうな
と私は心の中で思い、くすっと笑いを漏らす
「なんだ?
....あんたもしたくなったとか?」
「ち、ちがうよ!//」
シュウは意地悪に私の耳元で囁く
「ふっ....どうだか。
まぁ、あれで変な虫は寄り付かなくなるんじゃない?」
こんな所でレイジとシュウが兄弟だと改めて実感する
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「綺麗な満月....」
シュウは私に気を使い、夜風を吸うように、外に連れ出してくれた
城の側にある大きな湖には美しい月が映っていた
シュウはそこに腰掛け、湖を覗く彼女と満月を重ねて見る
ーこいつと結ばれて、怖いくらいに幸せな毎日を送ってる
何もかもが順調で、たまにこれは夢じゃないかとさえ思える
また、レイジは人間の女と結ばれ
アヤトの奴だって想い人を見つけたって噂だ
そして今、こいつの腹の中には俺達の子供が居る
いつから俺の周りはこんなに穏やかになったのだろうか....
「シュウ?」
ーあぁ....そうだ....
ぐいっ
シュウは彼女の腕を取り、そのまま自分の唇を重ねる
「っ....んっ....ッ」
こいつと出会ったから....こいつと結ばれたから俺はこんなにも嬉しくて....幸せなんだーー
「し....シュウ....ッ....」
顔を赤く染める彼女が愛おしくて、手放せない
2人の後ろの水面には
もう時期産まれる子供とその隣に並ぶ2人の姿が映る
きっと、この先何十年、何百年....いや、永遠にこの連鎖が断ち切られることは無いだろう
彼等が生きる限り、終焉の懐時計は止まることはない
アダムが耕し、イブが紡ぐ世界
これは、
ヴァンパイアと人間の愛の物語ーーーー