第24章 結婚
そのままコウと進んでいると向かいに大きな扉が見えた
私は薄々気づいていた
この流れで行くと....
「本当は俺がこのまま連れていきたい所だけど、やっぱり最後はお兄ちゃんに譲ってあげる♪」
扉の前に立つ、真黒のスーツが髪の色に良く合う彼の姿があった
後ろ姿をみただけで、胸がいっぱいになる
私の憧れの人....
そして、その人が振り返る
『ルキ』
彼は相変わらずポーカーフェイスで、控えめ気味に笑顔を向けてくる
「久しぶりだな。らん」
「うんッ」
2人が横に並び、向かい合う
「ねー♪らんー?」
そこにコウが割り込み
「この結婚式に来るのに一番駄々をこねたのは...誰だと思う?ふふっ♪」
「えっ?」
コウは意地悪に笑う
「おい。コウ。余計な事を言うんじゃない」
そうルキに宥められ、コウは、はいはーいと言って私に手を振り、先に会場に向かった
「全く....」
「ふふっ」
大きくため息をつくルキを見て
変わらないなぁと思う
そしてきっと、これはみんなが父の代わりにバージンロードを歩いてくれる、そういう設定なのだろう
「らん。少し後ろを向け」
ルキに言われ素直に後ろを向く
少しして、首に冷たい感覚を感じる
「いいぞ」
「!」
首元を見ると
少し大人っぽく、このドレスによく合うシルバーの薔薇のネックレスが着いていた
「綺麗....」
「これは、俺達からの結婚祝いだ」
ルキはその場に跪き
ちゅっ
私の手にキスを落とす
「ルキッ!!////」
彼に見上げられるのは、とても緊張した
「らん、結婚おめでとう
綺麗になったな」
ルキは優しく微笑む
私は彼の笑顔に惹き込まれそうになる
「っ....ありがとう....ッ」
自然と涙が込み上げてくる
「こらこら、泣くんじゃない。折角の化粧が崩れるぞ」
ルキは涙を拭き取ってやる
「だって....ッ....嬉しいから....」
愛しい人と結ばれ、大好きな人達に祝福される
これ以上、嬉しい事があるだろうか?
ぎゅっ
ルキは泣き止まない私を抱き締める
そして、頭を優しく撫でてくれた
「そうだ。
お前は幸せ者だ、この世界の誰よりもな」
ルキの言葉、行動は私の事を安心させてくれる
過去も今も変わらないーーー