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不完全な『アダムとイブ』

第24章 結婚


私の後ろに立つ、係員がルキに合図をおくる

もう、準備が整ったようだ

私は少し緊張して、ルキの腕に掴まる

すると、ルキはふっと笑う

「どうしたの?」


「いや...お前がイブだったんだなと改めて思ってな

そう思うとなんだか納得がいく」

ちゅっ

ルキは私の額にキスを落とす

「蛇はイブを唆す

しかし、唆されていたのは蛇の方だったな」

「えっ...」

それって...

動揺する私を見てルキは意地悪に笑い


「ならば、最後くらい蛇の役目を果たそう」


ルキの顔が私の耳の傍までくる


中では華やかな音楽が流れていた

そうして、ルキは耳元で囁く


『お前をアダムの元に送り出そう

"愛してる"』


この時私はわかった

私は蛇である"兄"に唆され、甘い林檎を与えられ、幸せに囚われていた

彼はずっと私を守ってくれていたんだ


ゆっくりと扉が開き

「行くぞ」

ルキと共に歩き出す

席の方を見ると、アヤトくん達やコウ達が参列していた

変じゃないだろうか...ちゃんとここに立っていられているだろうか..

そんな不安はルキの温もりや、前に立つ愛しい彼の笑顔が打ち消してくれる

私は彼の正装姿に見惚れてしまった


席の最前列まで行ったところで2人の足が止まり
ルキと顔を見合わせる

ーーありがとうルキ

私とルキの手が離れ

彼は名残惜しそうに手を下ろす

幸せになれ。らんーーー


シュウに手を取られ、私達は段を登る


『誓います』

読み上げられる契に答える彼の横顔はかっこよくて、嬉しくて....私は胸がいっぱいになる


彼と出会って私は救われた


シュウは私の指にゆっくりと指輪をはめ

こっそり「綺麗だ」と告げる

その一言だけで、私の顔が火照るのが自分でも分かった


そして、彼は私の腰に手を当て

2人は目を合わせる


シュウとこれから先も、一緒に永久の時を過ごしていく

そんな日々を想像すると、幸せとはこんな時に使う言葉なのだろうと改めて実感する


目の前の彼は優しく微笑み、私の頬に手を添える

『愛してる。これからもずっと一緒に居よう』


そう言って彼は唇を重ね


大きな鐘の音が鳴る



ー大切な人達が見守る中

2人は永遠に結ばれたー

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