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不完全な『アダムとイブ』

第24章 結婚


その後、アズサにここで待っているように言われ、私は大きな広間の真ん中に立っていた

すると....

後ろから足音がして、帰ってきたのかな?と思って振り返ると....


「おぉーよく似合ってんじゃねーか」

歩いてきたのは....

『ユーマ!』

背の高いユーマが優しく微笑みながら歩み寄る

彼は黒いスーツを独特の着崩し方をしていて
これが似合うのは彼だけだろうと内心思った

「よぉ。元気からん」

「うん!」

満面の笑みで私の隣に立ち、手を差し出される

私の倍はある大きな手は物凄く安心できた

「人間としての生活には慣れた?」

私は心配そうに問いかける

そんな私を見て、ユーマは頭をかき

「あぁ。まぁ、最初は違和感だらけだったけどヴァンパイアだった頃と大して変わりねぇよ。ただ....」

「?」

彼はチラッと私の方を見て、大きく息を吸う

流石に結婚前に、"お前が居なくて寂しい"....
なんてことは言えないなと思う

すると、私は彼のネクタイが目に入る

「ユーマ。ネクタイ崩れてる。しゃがんで?」

彼のネクタイは緩かったのか、外れかけていた

「あぁ。頼む」

ユーマは私の目線までしゃがんでくれた

手際よく結んでいく私を見てユーマは口を開く

「上手くなったな」

「え?」

「昔、俺らのネクタイ結びたがってただろ?お前」

小さい頃は失敗ばかりしながらも、彼等のネクタイを結んだりしていた

「ふふっ。懐かしいね」

優しく微笑む彼女を見て、ユーマは少なからず未来の旦那に嫉妬した

きっと、ネクタイを結ぶのだって俺達だけの特権じゃなくなる
その笑顔だって....

昔よりずっと成長した鳥はもう巣立ちの時なのだと....ユーマは実感し

ぎゅっ

「ユーマ....?」

彼の服からは甘い林檎の香りがした

「....もし、シュウの奴と喧嘩したりしたら俺らのとこに来いよ。
殴り飛ばしてやるから」

寂しそうに話す彼を私は抱きしめ返した

「うん。ありがとうユーマ」


ユーマは耳元にキスをして、囁く

「幸せになれよ、らん」



『結婚おめでとう』



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