第23章 未来
カールハインツ様は、彼らも本当の息子のように大切だったのだろう
これは私の願いだけじゃない
きっと、あの方もーーー
バッ
安心したのか、急に足に力が入らなくなり
意識が飛ぶ
「らん!」
倒れそうになる彼女をシュウは支える
「シュウくん、らんどうしたの!?」
「大丈夫。気を失ってるだけだ。
疲れたんだろ」
そのままシュウは彼女を抱き上げる
そして....
「早く、行け」
シュウが声を掛ける
「お前達はもう自由だ。
その短い生を良く過ごせる、そんな場所に行くんだな」
「ッ!!」
彼等はもうヴァンパイアではない
だからこそ、また1からやり直そう
今度は人間として
「あぁ。逆巻シュウ」
「なんだ?」
「らんのことを頼んだぞ」
「あぁ。分かってる」
ルキはふっと笑い他の兄弟とユイを誘導する
すると
「おい。チチナシ」
アヤトがユイに話しかける
「お前も行くのかよ」
「ごめんなさい、アヤトくん達にはお世話になったのに....
でも、私は無神のみんなとこっちの世界で生きて行きたい。
私もやり直したいんだ」
いつもなら突っかかるアヤトも今回は何も言わずため息をついた
「全く、人間というのはこれだから厄介なのです」
レイジも深くため息をつく
これは許したということだろうか?
「お前の意思でそう言うんなら別に俺は止めねぇ」
スバルは少し照れたように頭をかく
「みんな、ありがとう」
ユイはペコリとお辞儀をして
みんなの元に駆ける
そのまま無神兄弟は森の中へと姿を消して行った
彼等は足掻き、葛藤し、守り抜いた
本当に大切なモノをーーー