第23章 未来
ーー"アダムの林檎計画は無事遂行された....
あとは、あの2人が新しい種族を生み出すのみ....
らん....貴様は魔界の呪物である、あの時計さえも、狂わせるのか....
"不完全"なイブは"完全"となった
ご苦労だった隣星らん....
貴様の願いを叶えよう"ーーーー
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『ッ!!!!』
突然、ルキ達が苦しみ出す
「!」
心臓が強く脈打つ
「どうしたの!?みんな!」
傍に居たユイが駆け寄る
「....ッ....」
ルキは自らの手に体温を感じる
彼等はこれをずっと昔に宿していた
「あぁ?....怪我が治ってやがる....」
ユーマは服をたくしあげる
そこには先ほどまであった傷は無くなっていた
「これって....」
アズサは驚いたようにある一つの答えに辿り着く
「俺達....
"人間"に戻ってる....」
「!!」
彼等の手は熱を持っており、魔力も消えていた
「えー!レイジ。そんな事ってあるの?」
驚くライト
「....先程、一瞬父上の魔力が感じられました」
「あぁ?親父?」
「第一、彼等をヴァンパイアに出来る者といえば父上だけでしょう」
彼には全てお見通しだったようだ
「確かに。父様なら可能でしょうね。
それを、元に戻すなんてことも。
そうでしょう?シュウ」
カナトは振り返り問いかける
「....あぁ」
無神兄弟は驚く
「カールハインツ様が....?」
自分達はこれをどう受け取ったらいいのだろうか
これは、俺達の罰?
いいや....俺達にとってはヴァンパイアとして行き続けることこそが最大の罰だった
いずれユイに置いていかれる....それこそがこの世で一番恐ろしい事なのだから
しかし....なぜ....
『みんなは許されたんだよ』
「!」
らんはシュウに支えられ立ち上がる
「計画は成功した....
みんはもう"自由"だよ」
『自由』
その言葉に、無神兄弟の顔はパーっと晴れたような表情に変わる
「....やっと、手に出来た。本当の青空」
コウは赤い義眼で空を見上げる
そこには、枠にはまらない綺麗な空があった