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不完全な『アダムとイブ』

第22章 自由


ーーーんっ....


シュウはゆっくりと目を開ける

(....これは....現実か....?)

視線の先には赤い月と満天の星が見えた

なんだかくすぐったい背中の下には白い花が咲いていた

確か....俺は....ーーー

記憶を巡らす

ーーそうだ、アイツの血を吸ったとたん急に頭に何かが流れ込んできて....

「....ッ....らん」

状況を思い出し、周りを見る

すると、彼女はシュウの隣で眠っていた

死んだように眠る彼女を見て、シュウは一生起きないんじゃないか、そういった不安に陥る

「....おい....らん。起きろよ」

シュウは彼女の髪の毛を優しく撫でる

「........」

しかし、彼女の目が開く事はない

不安になり、胸に耳を当てる

いつもは温かい肌も冷たく、心臓は動いてはいるが、今にも止まりそうだった

シュウはらんに覆いかぶさる

「....眠り続けたお姫様は王子のキスで目覚めるんだろ?」

彼は眠る彼女の唇を奪う

いつものように、甘くもしょっぱくもないキスに虚しさを覚える

唇を離しても、彼女が目覚めることはない

その時、彼女の頬に1粒の何かが落ちた


ーー頼む....目を開けてくれ....ッ


シュウはゆっくりと首に顔を落とし、牙をその白い冷たい肌に差し込む

それは喉を潤すのではなく、愛を確かめる、祈るようなそんな吸血だった

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