第22章 自由
眠りの中、首に牙の感触と頬に冷たい物が滴り落ちたような感覚があった
ーーーシュウ....泣いてるの....?
思わず私は夢の中で光の中に手を伸ばした
「泣かないで....」
「ッ!!」
シュウの頬に手が当たる
闇の呪縛を解く方法....それは
『『愛を与え、愛を受ける者からの吸血』』
これで....アダムの林檎計画は達成された
「シュウ....?」
目を開けるらん
目の前には少し目を赤くしたシュウがいた
思わずシュウは彼女を強く抱きしめる
「....ッ....よかった....」
彼の体からは温かい体温が感じられた
「....シュウ....私、生きてるの...?」
信じられないような顔をする
終焉の懐時計が示した時はもう過ぎていた
それに....
「傷が無くなってる....」
らんの体の傷は全てなくなり、胸を締め付ける銀の血の侵食も感じなかった
またそれだけではなく、シュウの受けた銃弾の傷も、無くなっていた
「....シュウ。痛くないの?」
「あぁ。
あんたの血には不思議な力があるんだな」
「え....?」
愛する者に吸われた時、その血は浄化され、人を癒す力に変わる....ーーー
夢の中で聞こえた言葉を思い出す
確か....あの声は....
「お母様....」
お母様はずっとこれを信じていてくれたんだ....
ついに、彼女も自由になれた
らんは嬉しさで涙を流す
シュウはそんな彼女を愛おしそうに見つめる
ーーやっと、救えたんだな....
「らん」
彼女を押し倒し、唇を奪う
「んっ....ッ....し、シュウ....ッ」
いつもより、長いキスに胸がいっぱいになる
そのキスはお互いを確かめ合う、そんな甘さが感じられた
「....もう、絶対離さない
あんたはずっと俺の隣に居ろ」
シュウは何度も何度もキスをして
甘い言葉を囁く
そうだ....これからはずっと一緒に居られるんだ
「ありがとう...シュウ」
らんは微笑む
やっと、この笑顔を手に入れた
そう思うと胸が痛いくらいに嬉しかった
「あぁ。らん、愛してる」
赤い月の下で二つの唇が交わった