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不完全な『アダムとイブ』

第22章 自由


どこまでも続く、白い不思議な世界で、シュウは死んだはずの母親に出会った

「あんたが居るってことは....俺は死んだのか?」

シュウはため息をつきながら頭を掻く

「いいえ。

ここは、お父様....カールハインツが創り出した世界....」

「親父が?」

確かにここにはカールハインツの魔力が感じられた

「少し歩きましょう」

シュウは歩き出す彼女について行く

「お父様は…魂をここに留めておくことができる」

「!」

「ここに居るものは、その人の選択次第で生と死....どちらも選べるのです。

だから、貴方はまだ死んではいない」

親父が....

ありえない話だが、
神ともよべる存在であるカールハインツならば可能なのかと、シュウは思う

そして、1つ疑問が生まれた

「....あんたは生を選ばなかったのか?」


「ッ....」

ベアトリクスは立ち止まる
そして、儚げに上を見上げる

「えぇ。....ここにいれば、生きていた時よりもあの人の愛を感じることができる....

ヴァンパイアにとって、死とは幸福です」

(...死んでもなお、親父の事を愛してんのか....)

シュウは少し同情した

愛に溺れ堕ちた母親や
彼女をここに留めている父親にさえも

そして、改めて思う
ずっと面倒くさかった、親父の後継者の件も
その為の俺に対する教育も

全てはカールハインツに愛されるため....

俺はこいつを馬鹿な女だと思ってた

けど、俺もあいつに溺れて少しだけ理解出来た気がする

そこでシュウは気づく

「....らん....

らんは生きてるのか…?」

ベアトリクスは振り返る

「この世界では、魂が留まる代わりに自らの闇を受け入れ、断ち切る必要がある」

「闇....」

そうか....だからあの時の事が....


でも....あいつの闇は....



シュウの頭に不安が過ぎる
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