第17章 逃亡
ユイはその夜、夢の中で不思議な世界に囚われた
辺りを見渡すと、目の前に大きな林檎の木があった
何故かこの光景に見覚えがあった
そして、よく見ると木の前に2人の人影が見えた
しかし眩しい光が放たれ、目を開けた時には人影が一つになっていた
『....貴様は変わらないな....』
その人はふと呟き、ユイに気付きこちらを見る
『やぁ、イブ。よく来たな』
気づくと男は目の前まで来ていた
「確か....あなたは....」
ユイはその男に見覚えがあった
以前、事故の時に見た人物だった
ユイが不思議に考えていると男は話し始める
『イブ。貴様はアダムを選ばなかった。しかし、林檎は腐り落ちていない。
何故なのだろうな』
「....林檎....?」
男は懐中時計を開く
『時間があまりない。
イブ....貴様は何を求めている?』
「え....」
『貴様がルキ達と共に居る理由は何だ?』
「!」
その質問にユイは一瞬戸惑った
心の悩みを付かれたようで....
だが、彼女にも彼等と同じ様に覚悟が出来ていた
「....ルキくん達は辛い過去や責任を背負ってる....それはイブと呼ばれてる私のせいかも知れないけど、だからこそ私はみんなをずっと傍で支えなきゃいけないと思うんです
それに....
私は無神のみんなと一緒に生きていきたい」
その言葉は偽りのない純粋な気持ちが表れていた
『....それが貴様の希望か』
すると男は1つ指を鳴らし
突然、眩しい光が放たれる
『イブ....いや、小森ユイ
賽は投げられた....
あとは、お前達次第だ』
男は消え、ユイは暗闇に包まれていった