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不完全な『アダムとイブ』

第16章 代償


その後、闇に包まれるように眠りに落ち

目を覚ますと、家には誰もいなかった

これが、彼等の出した答えだった....

『蛇はイブを連れ去り、逃亡....』

ルキ達はあの方を裏切り
ユイを選んだ

人の心なんて筋書き通りにはいかない
神の導く道に沿ったって、必ず近道を見つけ出す
彼等はイブが小森ユイとして生きられる
そんな場所と自由を求めているのだろう....


ガチャーーー


突然、部屋の扉が開く

誰もいない....居るはずのない為、誰が入ってきたのか、全く予想がつかない

「此処に居たのか」

相手を見て少なからず驚き、そして涙が込み上げてくる....

「....シュウ....」

一人だと思っていた時に彼が来てくれたのは嬉しい以外の何ものでも無かった

なんだか、雰囲気の違う彼女を不思議に思う

そしてふとシュウは気づく
いつもなら感じる他の奴の気配が全く無かった

「あいつらはどうした?」


「........」
らんは下を向く

「みんなは....もう此処には居ないよ....」

「!」

「みんな....大切な物を守りに行ったの....」

シュウは彼等の目的に気づく
「まさか....あいつら....」

この兄妹を見ていた彼にはとうてい信じられなかった

らんは苦笑を浮かべ、外の月を眺める

「代償無くして、大切な物は得られない...

それは本当のことだよ....」

ルキ達は彼女を置き去りにしたわけじゃない....
彼等は彼女を守る為に置いていったのだ....
その事にはシュウもすぐ気づいた


嘗てのルキの言葉を思い出す

だからあいつは俺にコイツを任せたんだ....



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