第16章 代償
「どうゆうことだよ....らんが....死ぬって」
父の言葉にシュウは動揺していた
彼が何を考えているかはシュウには分からないが、こうゆう嘘を付くような相手では無いことは嫌というほど知っていた
「....らんには銀の血が流れている。
その血は不死者を苦しめる毒だ、それは彼女自身も例外ではない」
「!」
「彼女も一応ヴァンパイアだ。時が経つにつれ、体は毒に冒される。
今も銀の血は、彼女の肉体を苦しめているだろう」
「まてよ....そんな事あいつは一言も....」
カールハインツは哀れむ表情を浮かべる
「これは、ルキ達も知らない事だ。
あの娘は誰にも言うつもりは無いのだろう。
....だが、私はお前にはこの事を知っていてもらいたい
お前に、この意味が分かるか?」
カールハインツにとって彼女は娘も同然なのだろう
シュウは初めて父親の考えが理解できた気がした
「....あいつは馬鹿なくらいお節介で....他人の事ばっか考えて....ッ....」
シュウは気づいてやれなかった悔しさで歯を噛み締める
もう、感情を表に出すことに迷いは無かった
「らんは誰より優しく周りを包む....
だから誰も彼女の本心に近づく事は出来ない。
だが....シュウ、貴様は特別だ」
神と同等に近い彼でも叶わないコトがある
嘗ての隣星家の当主を思い出す
救えなかった、彼等の命を....
お前がらんを救うのだ....ーーーー