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不完全な『アダムとイブ』

第15章 終焉の懐時計


夜になり、無神兄妹とユイは学校に来ていた

みんなが揃うのは珍しいなと思いつつ自教室に向かう

概ね理由はルキに言われたから、だろうが....

教室に入ると何時ものように机で寝ている彼がいた
「おはよう。シュウ」

シュウは目を開ける

「..おはよ。ん…お前来たのか」
シュウは大きくあくびをする

「来ないと思った?」

シュウはんーと唸る

「あぁ。あんな事があったからな。お前の兄貴達が通わせないと思ってた」

そんな事を言いながらも
怠惰な彼が学校に来て、教室に居るのは彼女に会うためだろう

「てかさ、前から思ってたけど…
なんで、お前こんなとこ来てんの?」

命を狙われていて、兄達を巻き込む可能性もあるのに、彼女がたかが勉強の為に此処へ来ているとは思えなかった

「…シュウに会えるから…って理由じゃだめ?」

らんは微笑む

「........」

内心嬉しかった
しかし、らんが嘘を言っていることはすぐ分かった
でも、俺はそれについては追求しなかった

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放課後になり車へと向かう
シュウは用事があると言って先に教室を出た

廊下を歩いていると、後ろからヴァンパイアの気配を感じる
誰かは直ぐに分かった

「どうしたんですか?レイジさん」

振り返る

「流石は隣星家の人間ですね。完全に気配は消したつもりでしたが....」

誰も居ない長い廊下で二人は話をする

「何かご用ですか?」

「いえ、ただ貴女にお詫びを申し上げようと思いましてね」

私は記憶を巡らし、あの日のことを思い出す

「先日は愚弟が無礼な事をして、大変失礼しました」

レイジは丁寧な敬語で謝罪する
しかし、言葉とは裏腹にどこか楽しんだような顔をする

「....アヤトくんは大丈夫ですか?」

私はその表情に気づかないふりをする

「えぇ。あの後すぐ目を覚まし、普段と変わらずといったところです。
アヤトなりに少しは反省しているようでしたし」
レイジはかけた眼鏡を1つ上にあげる

「それは良かった..」
ずっと気がかりだった事が解け安心する

そんならんを見てレイジは歩み寄る

「お詫びと言ってはあれですが..」

レイジは1つの時計を差し出す

「これは....」


『終焉の懐時計』
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