第15章 終焉の懐時計
「ユイちゃん、本当に大丈夫?」
二人はユイの部屋に居た
顔色の悪いユイをらんは心配する
「大丈夫ですよ。少し、疲れただけなので」
「........」
彼女が何かを隠していることは容易に理解出来た
「あの人達に....会ったの?」
あの人達=ヴァンパイアハンター
ユイはそう判断し、
動揺しながらもゆっくりと頷く
「ごめんね....私のせいでユイちゃんを巻き込んで」
ユイもヴァンパイアハンターが彼女を狙っている事は知っていた
「らんさんは何も悪くないですよ!
悪いのは....私のお父さん....」
『お父さん』
その言葉を口にする度にユイの心臓は棘が刺さったようにズキズキする
「お父さんのせいで、アズサくんは腕を失って....無神のみんなも危険な目に遭ってる....」
「ユイちゃーーー「....でも....」
らんは自分の父を責める彼女を慰めようと声をかけるが....
「....でも、本当は私が....私がいけないんです」
「っ....」
ユイは溜めていたものを出すように涙を流す
「わたしが....私が居るせいで..ッ..
私が....居なければ....みんなは....ッ....」
ユイはずっと思っていた
ルキ達が何かに縛られているのも
ヴァンパイアハンターに襲われたのも....
自分さえ居なければ....
ぎゅっ
泣き続けるユイをらんは抱きしめる
そして....
「....お願い、ユイちゃん....そんな事言わないで....」
「らん....さん....」
「貴方は私の兄弟を支えてくれてる....
明らかに変わったんだよ....ユイちゃんが来て、彼等は....
これはユイちゃんにしか出来なかった事だよ....」
「私にしか....出来ない事....」
ーー隣星 らんは不完全なイブ....
だから、私達は新生のイブを求めた....
しかし....彼女は違う....
らんはユイの肩を強く掴む
「貴方は"彼等"にとっての唯一無二の"イブ"なの....
だからーーーーー
私もやっと、答えを見つけた....
頬に一粒の涙が伝ってゆく....
これが....誰にとっても良いーーーー