第15章 終焉の懐時計
「ったく....なんだよ...」
コウとユイは街を通り歩いて帰っていた
コウは相変わらずルキの態度に腹を立てているようで....
「いっつも何ともない顔しちゃってさ
....君のことだって....」
「....コウくん....」
彼も本当は分かっている
こんな我が間が通用しない事....
ユーマ達が彼女を手放したくなくて
何か他の方法を考えてる事も....
彼もどうすればいいか分からなかった
「ねぇ、コウくん....ーー
「きゃぁぁ!!」
ユイが何かを言いかけた時、前方の交差点から悲鳴が聞こえる
「血だ!!!!」
「救急車と警察呼べ!!」
通行人が騒ぎ出す
「一体、どうしたの?」
よく見ると信号に人が2人倒れていた
ユイは思わず口に手を当て唖然とする
その様子に感ずき、コウは腕を引く
「ユイ、とにかくここから離れよう」
2人が路地に入ろうとすると....
後ろからパーカーのフードを被りナイフを持った男が人を避け、走ってくる
「おらぁぁぁ!!」
コウが振り返った時にはもうユイの後ろまで来ていた
咄嗟にコウはユイの身体を引き寄せ
盾になる
ナイフはコウの脇腹に向く
「ッ....!!」
「....だめ!!!!」
ユイは叫ぶ
ガシッ!
2人が目を開けると男は取り押さえられていた
包帯で巻かれた細い腕ががっしりと男の腕を掴む
その姿に見覚えがあった
「アズサ!」
「2人共....大丈夫....?」
2人を助けたのはアズサだった
「どうして、アズサくんがここに!?」
「ルキが....2人の護衛を....しろって
それに、コウには前....助けてもらったから....」
コウはルキの行動を理解出来ずにいた
「なんでルキが....
でも、ありがと。アズサくん」
「うん....
ところで、この人....」
アズサは男の首を抑え顔を見る
すると....
「コイツは....」
目が赤く、口からは尖った牙が覗いていた
「ヴァンパイア....」