第14章 不完全
シュウは唇を離す
「ふっ。大体、お前の方が俺なんかと一緒に居ていいわけ?」
「?」
シュウは少し目線を逸らす
「....あんたの両親殺したの
コーデリアとリヒターなんだろ?」
ドクンッ....
少し胸が締め付けられる
「....そうだよ....
リヒター卿は彼女の命令で私の家を焼き払ったの....
彼女はカールハインツ様と私の父が友好関係に有る事がとても気に入らなかったみたい....」
世間体では、隣星家との繋がりだけで差別的な目を向けられていた
シュウは気まずい顔をする
「なぁ....お前はヴァンパイアや聖職者達を....恨まないのか?」
「え....?」
突然の言葉に驚く
「ヴァンパイアのせいでお前の一族は抹殺されて、お前は聖職者に酷い扱いをされたんだろ....?
....今日の事だってそうだ。
そのコーデリアの息子のアヤトのせいでお前はこんな目にあったんだ....
そして....その心臓は今あの女が持ってる....」
「逆巻を....ヴァンパイアや聖職者をお前は恨まないのか....?」
シュウの言う事はよく分かった
....ヴァンパイアも人間も....私にとっては恨むべき相手で、許せない存在だ....
「確かに....私も彼等に何度も復讐しようと考えたよ....
一生許せない....けど....ヴァンパイアの中にもカールハインツ様やルキ達....シュウだっていい人は沢山居る。
例え、ユイちゃんが聖職者の娘でコーデリアの心臓を持っていたって、彼女とユイちゃんは違う....」
「それにね....私は絶対にヴァンパイアも人間も嫌いにはなれない....
だって....」
私はシュウの手を頬に当てる
ーヴァンパイアも人間も
私の両親が"愛した"存在だからーーーー
「ッ!!//」
その時の彼女は一点の曇りもない
純粋で甘美な表情を浮かべていた
思わずシュウも動揺した
「ふっ....そんな風に言えるお前を尊敬するよ」