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不完全な『アダムとイブ』

第14章 不完全


私がシュウにこの事を話せなかったのは、
知られたら必ず私の元から離れて行くと思ったからだ


「シュウは....私の事を知っても傍に居てくれるの....?」

「お前から離れる理由がないだろ」

私は首を横に振る

「だって....だって私は今まで沢山のヴァンパイアを....殺してきた....」

涙が零れる

「それに....大切な人はいつも....この血のせいで....みんな居なくなっちゃう....」

シーツが歪むほど拳を強く握りしめる

「....お父様やお母様…みんなが死んじゃったのも....私のせいなの....ッ」

らんは溜め込んでいた思いを全て告げる

「シュウも....ルキ達も....ッ....絶対に

失いたくないの....

だから....ッ」

ぎゅっ

シュウは腕を引っ張り胸に私を収める

「だからなんだ。
失いたくないから傍に居るなって言うのか?」



「それに....お前が教えてくれたんだろ....
失いたくないモノは自分で守らないとだめだって....」

私は今まで抱いた事の無い感情に晒された

「俺にとっても....お前は失いたくない存在なんだよ....」

「....ッ」

益々涙が零れる
先ほどとは違う....
純粋に嬉しかった
彼の言葉と温もりが....


「それに....お前のせいで家族が死んだんじゃない....

お前のおかげでみんな希望が持てたんだろ」

「シュウ....」

抱き締める力を強める

「俺だって同じだ。

お前が生きてて良かった....」

シュウはらんの唇に口付ける

そのキスは相変わらずしょっぱくて
甘くてよく分からなかったけれど....
らんが前より、自分を受け入れてくれてる事は感じ取れた




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