第14章 不完全
シュウは彼女への心の動揺を紛らわす為、
少し体の向きを動かし、話題を変える
「ふっ....にしても、お前の兄貴達は本当にシスコンだな」
「なんで?」
シュウはため息をつく
「なんでって....見てたら分かる。
まぁ、俺は一番上だから知らないけど、
あんな兄貴が居るってのも、悪くないかもな」
私は思わずキョトンとしてしまった
彼がそんな事を言うのは珍しい
これは、みんなを認めてくれてるってことかな?
「そうだね。私にとって
みんなは自慢のお兄ちゃんだよ(ニコッ」
シュウはその笑顔を見て益々胸が疼く
ほんのり自分の顔が赤くなるのが分かる
「あー....もう、無理だ」
「え?」
ドサッ....
突然シュウはらんの左腕を掴み
優しく体を倒す
シュウはらんの上に覆いかぶさった
「....シュウ....//ち、近い....//」
らんは着ていたブラウスがはだけ、鎖骨にはまだ新しい吸血の痕が見えた
彼の橙色の髪が額に少し触れ、くすぐったい
「あんた、無防備すぎ....
大体、男を部屋に入れるとか、意味わかってんの?」
正直、シュウも平静を保つのに必死だった
彼女の肌、香り、仕草....
彼の理性を奪うには十分すぎる
「だって....ッ//」
シュウは腕を握る力を強め、首元に顔を埋める
「し....シュウ....//....こ、こわいよ....ッ//
それに....あんまり....見ないで....//」
経験の無い彼女には、初めてのことばかりで怖かった
また、過去に付けられた傷跡を好きな人に見られるのも嫌だった
シュウは顔を離す
「....大丈夫」
らんの太陽の様な髪を撫でる
ーーー綺麗だ....
彼は優しい笑みを浮かべ、キスを落とす
らんもその笑顔を見て安心し、体を委ねる
「好きだ....らん....」
紅い満月を背に彼らは愛に溺れていった....