第14章 不完全
数週間後、らんはカールハインツ様に呼ばれた
「らん。ルキ達とはどうだ?」
カールハインツ様は優しく、問いかけてくれた
「ルキくんはあたまがよくて、私にもやさしくしてくれます。
コウくんはきれいなかおをしていて、私のきもちをすごくわかってくれます。
ユーマくんはからだが大きくて、すこしこわかったけど、さとうをわけてくれました。
アズサくんは、ほうたいだらけでしんぱいだけど、よくあたまをなでてくれます。」
カールハインツ様はらんの話を頷きながら優しい笑みで聞いてくれた
「みんなだいすきです
でも....」
「どうした?」
「やっぱり....みんなも....わたしとはちがう....」
らんは昔の境遇で自分の存在を認められずに居た
そんならんにカールハインツ様は....
「らん。
この世界に同じ者など居ないのだ。
それにお前は自分にもっと自信を持っていい。」
カールハインツ様はらんの耳元で呟く
「『アダムの林檎計画』」
「あだむ....?」
初めて聞く言葉に動揺する
「あぁ。この計画はお前の父が成し遂げようとした事だ。
人間とヴァンパイアが共存し合える世界を創る....
両親の願いの為にも、お前は自分を誇りに思え」
この時、らんはまだ幼くよく分からなかった
しかし、お父様とお母様の事は尊敬していた
「ルキ達も、お前と同じ様に暗い過去を持っている....
お前なら彼等の闇も解くことが出来るだろう....」
「お前に命じる
ルキ達がお前を護ると同様に
お前もルキ達を護るんだ」
「私が....みんなを....」
この命令を否定する理由は無かった
この時、私と彼等は本当の家族になれた