第13章 正体
「....」
リビングには兄弟みんなが集まっていた
空気が重たい..
「ルキくん、どうするの?」
「らんが狙われたとなったら、あの方も黙ってねぇんじゃねーの」
「ヴァンパイアハンターの人達に..学校に居るって事も..バレちゃったんでしょ?」
ルキは腕を組み、ため息をつく
「..あの方はらんの事は、あいつ自身に決めさせろとの事だ。」
みんなは複雑そうな顔をする
「..ユイさんは?」
「結局..俺達じゃ、覚醒は起きなかったね..」
「あの方は知ってるんだろ?ルキ」
ルキは微かに動揺した..
「あぁ。
だから..あの方はイブを逆巻のもとに戻すだろう」
「!」
「そんなの、嫌だ!エム猫ちゃんを逆巻の奴らになんか渡したくないよ!」
「..ユイさんは..俺の傍に..いて欲しい」
自分達にとってユイは特別な存在だ..だが..
「..お前達..分かっているな。
たとえ、どんな理由であれ、あの方の命を避けることは出来ない。
俺達はあの方のおかげで第2の生を得られた。
俺達には恩義を返す意義がある」
「....」
ルキの言葉にコウは不満そうな顔をする
「確かに、カールハインツ様は俺達の恩人だ..だけど、ルキくんはそれでもいいの!?」
「コウ。お前はあの方を裏切るつもりか?」
コウは歯を食いしばる
「裏切るつもりなんてない..ないけど..ユイを渡すのは嫌なんだ..」
「おい。コウ..」
「あの方がそれを望むのであれば俺達は従うしかない。第一、俺達ではアダムになれなかった..その代償を受けるべきではないか..?」
コウの中で何かが切れた
「ルキくんはいつもそうだ!何でも割り切ったようにして、
ルキくんはユイとカールハインツ様、どっちが大事なんだよ!?」
ルキは一瞬戸惑うが..
「そんな事分かっているだろう..
あいつと出会えた事も、あの方の思し召しがあったからこそだ。それは俺達も同じだろう」
ルキはユイよりもカールハインツへの忠誠を取った
ユーマとアズサは彼が本心を言っていない事は分かっていたが
「..ルキくんなんか嫌いだ..」
コウは部屋から出ていく
「ちょっ、おい!コウ!」
ユーマはコウを追いかける
「どうしたら...いいんだろう..」
アズサは佇む事しか出来なかった