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不完全な『アダムとイブ』

第13章 正体


2人は近所の公園まで帰っていた

だが、段々雨が酷くなり、公園のベンチで雨宿りをしていた

らんは赤く腫れた手を抑える

「....痛むのか?」

「うん....少しだけ....」

シュウはらんの手を握る
彼女の手は熱く、熱を帯びていた

それに反してシュウの手は氷のように冷たく
気持ちよかった

「なぁ、らん」

シュウは握る手に力を込める

「そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」

「!....」

「お前、一体何者なんだ?」

シュウは、彼女が何らかの事情を抱えていることは気づいていた
しかし、彼女の口から、自分に話してもいいと思ってもらうまで聞かないつもりでいた

だが、今日の様な事があったら流石に聞かずには居られなかった

「ごめん、シュウにはちゃんと話さなきゃいけないのに...」

らんは俯く

「私はーーーー

「らん!」

らんが言いかけたところで彼女を呼ぶ声に遮られた

「ここにいたのか...」

屋根の外には、息を切らしている
ルキとユーマがいた

「お前ら...」

2人はらんに歩み寄り

ぎゅっ

「る、ルキ」

ルキは安心したのか、思わずらんを抱きしめる

「よかった...お前が無事で....」

一方ユーマは

「ハァ....心配したんだぜ?」

安堵したのか、ベンチに座り込む

そして、隣に座るシュウと目が合う

「あぁ?ニート、何でお前がここにいんだ?」

「ユーマ!

シュウは私を助けてくれて...」

事情を説明する

「なるほどな」

「そうゆう事かよ」

2人は複雑そうな顔でシュウを見る

「全く....兄貴ならちゃんと、こいつの事見とけよ」

「あぁ?」

軽い挑発にのるユーマを落ち着かせる

そして....2人はらんを連れて帰ろうとする

その時

「おい。逆巻シュウ」

バッ!!

ルキはシュウに傘を投げる

それを掴む

「あぁ?」

彼なりのお礼なのだろう
まぁ、相手が逆巻で無ければもう少し素直になれただろうが


「ハァ....ん、まぁ、助かった

ありがとな」

お礼を言うユーマ


「........チッ」

シュウは後ろを向き家に帰る


「ありがとう....シュウ」

4人は暗闇の中へと消えて行った



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