第13章 正体
炎は燃え上がり、黒い煙が周りを覆う
「おい!なんだこれ!」
「きゃあぁぁ!」
周りは通行人の悲鳴と車が燃える爆音で包まれる
そして、雨が降り出す
シュウは咄嗟にリムジンの前まで行く
「おい!らん!大丈夫か!?」
「ハァ....ハァ....し、シュウ....」
彼女は先程まで車が止まっていた所で
へたれこんでいた
少し手が腫れている
扉に手を掛けたところで、車がぶつかってきたのだろう
そして間一髪、彼女は助かった
だが、らんは放心状態で立つことが出来ない
目も虚ろで、怯えていた
ぎゅっ....
シュウは震えるらんを抱きしめ
「......もう大丈夫だ。俺が傍にいる」
「....うん....ッ....」
胸に顔をうずめるらんの頭を撫でながらシュウはホッと肩をなで下ろし
「にしても....一体誰の仕業だ」
運転手は間違いなく、こいつらの使い魔だった
まぁでも、止まってる時に車がぶつかってきたならただの、事故か....?
シュウは辺りを見渡す
すると....
「アイツら....」
反対車線の道に立ち、こちらを見る人影があった
らんも顔を上げて、そちらを向く
「う....うそ....」
過去の悲惨な光景が蘇る
その者達は、黒くて長いローブに身を包み
顔はフードで隠してあり、見えないが
首からは十字架を下げていた
「まさか....あいつらは....」
そのまま彼等は暗い路地へと消えて行った