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不完全な『アダムとイブ』

第13章 正体


「うん、本当に!?....良かった....」

私はコウからアズサの手術が成功したという
報告を電話で受けた

思わず涙が流れ、指で拭う

「らんも、気をつけて帰るんだよ?」

「うん。ありがとう

それじゃあ、後で」

電話を切る

「成功したって?」

後ろに転がっているシュウが問いかける

「うん。本当に良かった....

シュウにも心配かけてごめんね」

「別にー
俺はただ、話を聞いただけだ」

クスッ

素直じゃないなと思いながら私は鞄に手をかける

「ん?かえるのか?」

「うん。アズサの様子も気になるし、
ユイちゃんにもお礼を言わなきゃ」

らんは嬉しそうに話す

そんなコイツを見てると俺まで流されそうだな
とかシュウは思いつつ

「じゃあ、俺も帰るか。
車だろ?」

立ち上がり扉を開ける

「うん。シュウも?」

「あぁ。」

なら下まで一緒に行こうと
2人は玄関まで歩く

「誰も居ないね」

「少し早いからな」

玄関を出た所にも生徒は誰も居なかった

広い玄関の前に長いリムジンが止まる

「あ、あれ私のとこのだ」

私は階段を一段降りる

「シュウ。今日は話を聞いてくれてありがとう(ニコッ

貴方の言う通り悪いようにはならなかった」

微笑む彼女を見てシュウは少し照れくさそうにする

「まぁ、良かったんじゃないの?」

また彼は素直じゃない


「うん!それじゃあ、またね!」

らんはリムジンまで小走りで行く

「あぁ。」

彼女が少し小さくなり、シュウも裏に止めてある車に向かう


....だが....



ドンッ!!!バゴーンッ!!!!

「!」

車がぶつかる音
ガソリンに引火したであろう爆音と
火の臭い....


シュウは再び振り返る

そこには、先程まであった黒のリムジンが消えていた....

「うそ....だろ....?」


シュウの目に炎が赤く映る

「らん!!」
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