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不完全な『アダムとイブ』

第12章 無神アズサ『存在意義』


ユイはアズサの自室に居た


彼女は久しぶりに安心して眠れていた
理由はアズサが居たから

アズサは自分が眠るまで起きていてくれた
まるで、私をあやす様に


ーーーんっ....

ユイが目を覚ますと

「ぐっ....ッ....」

アズサは苦しそうに腕を抑えていた

「あ、アズサくん!怪我が痛むの!?」

「だ、大丈夫だよ....」

ユイはルキから事情は聞かされていた
しかし、ユイも彼がとても大切にしている腕の傷を手放せとは言えなかった

「アズサくん....その腕....」

背中を見てみるとアズサの左腕は赤と紫色で侵食されており、もう、首にまで達しようとしていた

もう、時間がないことは明白だった
このままでは腕だけではすまない

「アズサくん....お願い、腕の事は諦めて....」

「!....なんで....なんでみんな....そんな事言うの!」

ユイはアズサの手を握る

「大切だからだよ!アズサくんが!

みんな貴方に死んでほしくない!」


「でも....この腕は....この傷は俺の友達で....存在理由なんだ....」

「この腕を無くしたら....俺は....存在意義を失う....」

アズサは左腕を大事そうに抱える

誰も俺を殴ってくれない....
誰も俺を必要としないんだ....




「なら、私がアズサくんの存在理由になる。」

「え....?」

アズサは思いがけない言葉に驚く

「あのね、私、この前の事があってアズサくんに慰めてもらって、とても嬉しかったし安心出来た....私はアズサくんを必要としてる

それはルキくん達も同じだよ


だから....アズサくん

アズサくん自身と私達の為に....生きてくれないかな?」

アズサの心の中で何かが変わった

「君の為に....」

「うん。私はアズサくんが居なきゃ、ダメなの」

俺の存在意義はーーーー

「....ッ....君が俺を....必要としてくれる....」


ーーーー彼女だ


アズサは遂に泣き出す

そんなアズサを今度はユイが背中をさすってあげる

「俺....ルキに....頼みに行くよ....

あと....みんなに謝る」

「うん....きっと許してくれるよ

みんな貴方の家族なんだから(ニコッ」

アズサはユイにキスを落とす

「ありがとう....イブ....」

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