第11章 無神アズサ
3人は家に戻り
ルキを呼び、アズサの治療をした
流石のアズサもこの傷の治療には文句も言わなかった
「ルキくん....アズサくん大丈夫?」
コウは心配そうな顔をしてルキに聞く
「あぁ。命に別状はないが....」
「....あの左腕は切り落とさないといけない....」
ルキによると、腕に残っていたのは銀の銃弾だそうだ
銀の銃弾はヴァンパイアを殺す方法の1つ
「そんな....でもあの腕は....」
私達は知っていた、アズサが腕の傷をとても大切に、友達のように思っていることを
「切り落とさねぇと、アズサの命が危ないんだろ?」
「あぁ。」
「でも、絶対言うこと聞かないよ?アズサくん、あぁ見えて頑固だから」
アズサにとってあの腕は存在意義の象徴のようなものだ
「その事なら、ユイに説得してくれるよう頼むつもりだ」
「でも....ユイちゃん」
彼女は今アズサの部屋に一緒に閉じこもっている
アズサの怪我と父に殺されかけた事によって
気持ちの整理が出来ていない
「まさか....エム猫ちゃんの父親がヴァンパイアハンターだったなんて....」
「でも、なんで今頃になって戻って来てんだ? アイツらは海外にとばされたんだろ?」
「それは....」
ルキは答えを濁すが....
「あの人達の狙いは....私だよ。」
「!」
らんは自分の腕首を思い切り力を込め掴む
「私の血を狙ってる....
何年たっても....忌々しい人達....」
過去の事を思い出し、怒りが込み上げてくる
腕には指の跡がくっきり残る
そんな私の腕をルキは優しく握り
「お前の事は俺達が守る」
「そうだよ! らんは安心して」
「もう、昔みたいな思いはさせねぇよ」
みんなは自分を守ると言ってくれる
しかし、私は怖かった。
ヴァンパイアハンターを甘く見てはいけない
もし、自分のせいで彼等が死んでしまったら....
そう思うと、私は素直に頷けなかった