第11章 無神アズサ
ユイはベッドの横に椅子を持ってきて
アズサの看病をしていた
アズサの顔色は悪く、苦しそうだった
(ごめんね....アズサくん....
私が勝手な事をしたせいで....)
愛していた、愛してくれていたはずの、
父親裏切られた、失望感にユイは耐えられないでいた
胸が熱く、酷く痛い
私が今まで頑張ってこれたのは
心の底で、父親の姿が見えたから
きっと迎えに来てくれると信じてたから....
今の自分にはもう....帰る場所も....ない....
でも、苦しみはそれだけじゃない
自分の大切な人を....父は....
アズサくんを傷つけた父は許せない
「ごめんなさい....アズサくん....」
「イブ....悲しいの....?」
「え....」
さっきまで寝ていたはずのアズサが目を覚ましていた
「君の目から....涙が....」
「あ、ご、ごめんね....辛いのはアズサくんの方なのに」
ユイは必死に涙を拭う
しかし、なかなか涙は止まらない
そんなユイを見てアズサは起き上がり
ピトッ....
「アズサくん....?」
アズサは額をくっつける
「涙はね....血が流れるのと....同じなんだ....」
「苦しくて....痛い....そんな時に流れるものだから....
イブは....苦しいんだね....」
「俺にとって....痛みは....喜びだ....生きてるって....実感できる
でも....君は違うんだよね....
君が....苦しむのは....嫌だ」
アズサの額からは安心感が伝わってきた
「....ぐすっ....ッ....ごめん、ね....アズサくん....」
「なんで....謝るの?」
「だって....アズサくんは私を庇って....」
「俺は....大丈夫。
でも....君の怪我は....傷が見えないから....心配だ....」
アズサは優しく唇に口づけを落とす
そのまま、私はアズサの胸の中で泣き続けた
そんな私をアズサはなき止むまでずっと頭を撫でくれていた