第11章 無神アズサ
「お父さん!」
目の前にはもう随分会っていなかった父の姿があった
「ユイ!本当にお前なのか!?」
「そうだよ....ぐすっ....ッ....お父さん....」
ユイは家族に会えた嬉しさで、涙が止まらなかった
「お前がヴァンパイア共に囚われたと聞いて、急いで帰国したのだ」
(やっぱり、お父さん....知らなかったんだ!)
自分をわざと逆巻家に送り込んだのでは無いと分かり、ユイはホッとする
「さぁ、来い!一緒に帰ろう」
少し迷いはあった
しかし、今は父との再会を存分に味わいたかった
「うん!」
ユイは父の元に走る....が....
「待て!!」
急に父が怒鳴り出す
「チッ....遅かったか....」
「え....どうしたの....お父ーー
「気安く話しかけるな!」
先ほどまでとは全く違う父の姿にユイは驚く
「なんで!どうしたの!?」
「お前の体には、既にヴァンパイアによる染色が始まっている。
ヴァンパイア共を狩る前にお前だけは助けたかったのだが....」
ー....ヴァンパイアを狩る?ー
「もう、それも手遅れのようだ」
カチャ
セイジは銃を構え、銃口をユイに向ける
(お父さん…そんな....いや…)
ユイは目の前の現実を認める事が出来ず
動けない
「さよならだ。最愛の娘よ」
ーーーバンッ!!バンッ!!
弾丸が放たれ
血が飛び出す音がする
ユイはこの時、父との楽しかった思い出が頭の中でフラッシュバックしていた
酷い現実から目を背けるように....