第11章 無神アズサ
ユイは1人、森の奥深くに来ていた
(確か....この辺り....)
「あった! 」
ユイの進行方向には大きな教会があった
(久しぶりだなぁ....懐かしい)
ここはユイの父、小森セイジの教会だ
もう、今となっては誰もいない廃教会となっている
中を見てみると
随分誰も来ていない筈なのに
台や椅子が綺麗に掃除されてある
(やっぱり!誰か来てたんだ…)
そこでユイは中に足を踏み入れ
暗い教会を歩く
「誰か、誰か居ませんか!?」
真ん中まで来た所で、ユイは足元に何かがある事に気づく
(ん…これって....)
教会の廊下に散らばる白薔薇…
そしてその白薔薇にかかっているのは....
「血…!?」
ユイが少し後ずさると....
「ユイ....?」
「え....」
名前を呼ばれ、顔を上げるとずっと会いたかった人物が居た
懐かしい場所、懐かしい姿、懐かしい声....
やっと会えた....
「お父さん!」