第11章 無神アズサ
「ユイを手放したくない」
ルキは拳を強く握る
「だが....俺達にはそんな我が儘をつく資格はない。
俺達はあの方に恩義を返す義務があるんだ」
私は彼の後ろにカールハインツの姿を見た
「それに....お前にはアダムの林檎計画を遂行する指名があるんだろう?」
「うん....
それは私の夢だよ。
アダムとイブによって新たな種族が産まれることがね」
「だけど....最近の私、変なの....」
「?」
私は空を見上げる
「そんな事よりも、大切な事がある....
大切な存在が居る。
そう思うんだ....」
ルキはふっと笑う
「逆巻シュウ....か?」
突然彼の名前を出されて驚く
「やっぱり、知ってたの!?///」
先ほどとは別人だな、とルキは思う
「もちろんだ。俺はお前の兄、だからな」
ルキは自分の本心を言葉に出来たからか
清々しい顔をしていた
「でも....怒らないの?ルキ....」
少し後ろめたかった、彼に隠し事をするのは
「....お前がアイツは信用できると、そう思ったのだろう?」
ルキは問いかける
「うん。シュウは他の人達とは違う....」
「お前がそう言うなら。俺は何も言わない」
「今のところは....な?」
ルキはそう付け足す
「え、なにそれ!」
「ふっ」
こんなたわいも無い会話で
少しは彼の背負う荷が軽くなりますように