第11章 無神アズサ
らんは保健室から出て廊下を歩いていた
先ほどカールハインツに言われた事を思い出しながら
すると
「 らん」
「....ルキ....」
階段の踊り場に立っていたのはルキだった
私は今、あまりルキに会いたくなかった
彼はカールハインツ様に寛大な忠誠を誓っている
そんな彼にさっきの事を悟られるのは嫌だった
それに、私があの方にあんな我が儘を言ったのは....
「少し....話がある」
ルキは階段を登っていく
場所を変えたかったのだろう
私はどこに行くか認識し、その後を付いて行く
昔から彼はいつも私の1つ上をゆき、
いつも私達を守ってくれた
けれど、私は知っていた
彼はずっと自分の意思を押し殺し
あの方に従っていることを
私は前を歩くルキの背中をみて
改めて思う
『彼等には幸せになってほしい』