第11章 無神アズサ
ー保健室ー
「先生、ありがとうございました!」
「お大事に」
ラインハルトは1人の女子生徒の怪我の手当をし終わり、一息付き白衣を脱ぎ
扉の方を向く
「入ってきなさい」
ーーガラッ
「何の用かな?らん」
教室に入ってきたのはらんだった
「失礼します。先生....
いえ、カールハインツ様....」
彼は鋭い目つきでらんを見る
「いやちょうど良かった、私もお前に話があったんだ
まぁ、まず君の用件を聞こうか」
らんは緊張しながらもその口を開く
「カールハインツ様....
アダムの林檎計画をやめるべきではないでしょうか....」
「!....何故だ?」
「こんな事を私が言っていい立場では無いことは分かっています。
しかし、イブはアダムを選ばない....」
「お前は知っているはずだ。イブがアダムを選ばないのではない、選べないのだ。」
「それは、彼等にはその資格が無いという事ですか?」
「いいや。彼らにも私は期待しているんだよ。
その意味がお前に分かるか。らんよ」
「........ 」
「それに、お前が計画を辞めるべきと望む理由はほかにあるのだろう。」
「!」
「だが、もしイブの意志がみられなければ
私は彼等からイブを奪い、息子達の元に戻さなければならない。
全ては彼女次第だ。
林檎は赤く実るまでに時間がかかる、
もう少し待ってみようではないか。
それに、この計画の成功を一番望んでいるのはお前のはずだ。」
「そうですね....
しかし....私にはもう、時間がない....」
私は自分の心臓をおさえる....
「....お前に伝えるべき事がある。
その事も関係しているが....
あの者達が動き出した。
恐らく、我々ヴァンパイアの気配に気づいたのだろう」
「!」
私は昔の事を思い出し、身震いする
その様子を見て
「とにかく、今日はもう帰りなさい」
次に私が見た彼は教師の顔に戻っていた
私は頭の中の考えがぐるぐる回りながらも
扉の取っ手に手を置く
「あぁ、あと....」
「?」
カールハインツは笑顔を浮かべ
「シュウと仲良くしてくれているみたいだね。ありがとう」
「いえ....」
やはり、彼には何もかもお見通しなのだと思い、私は教室を後にした