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不完全な『アダムとイブ』

第11章 無神アズサ


ユイはアズサに呼ばれ、バスルームに来ていた

(どうしたんだろう....アズサくん。
急にバスルームに来いなんて....
忘れ物でもしたのかな?)

扉の前まで来て
ノックする

「アズサくん?どうしたの?」

バスルームの中から声がする

「あ....ユイさん....ごめん、今手が離せなくて....入ってきて」

「え....//」

流石に入浴中のバスルームに入るのは抵抗があり、戸惑うが、アズサが急かしてくるので
仕方なく遠慮がちに入る

すると....

「え....
どうしたの?!アズサくん!」

アズサの腕からは血が流れるように出ていた
浴槽にはられた水には血が滴り落ち、
中にある湯は薄赤く染まっていた

「早く、上がって!手当しなきゃ!」

ユイは状況からして、怪我をしたから呼ばれたのだと思った

しかし....

「手当て....?」
アズサは少し顔を引きつらせる

「そんな必要ないよ....折角付けた傷なんだから....」

ユイはアズサのいう事の意味がわからなかった

「何言ってるの!?そんなに血を流したら!」

「そうだね....こんなに血を流したら、ジャスティン達も、喜ぶね....ふふっ」

アズサは更に傷を付けようとする

「だめだよ!アズサくん!」
ユイは必死にナイフを持つ腕を掴む

「何するの....イブ....」

アズサは睨みつける

「あ、そうだ。君に、ここに来てもらったのは....君にも友達を作ってあげようと....思ったからなんだ....」
アズサは満面の笑みを浮かべ

ナイフをユイに向ける

ユイは掴んでいた腕を離し、逃げようとするが、アズサはユイの腕を捕まえる

「え....やめて....」

「ふふっ....大丈夫。」

ユイは必死に抵抗するが、アズサの振り下ろしたナイフは腕の皮膚を軽く切り裂いた

「痛っ!!」

ユイの腕からは血が滴る

「これで、君にも....友達出来たね....ふふふっ」

アズサはユイの傷を嬉しそうに、羨ましそうに眺め、滴る血を舐める

「....ユイさんの血は....美味しい....」

アズサはそのまま腕に噛み付き
ユイは痛みのあまり、気を失う

「ッ!!....」

その後、アズサはユイの目に流れる涙を見て
少し動揺した....

「涙....」
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