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不完全な『アダムとイブ』

第9章 無神ユーマ【野望】


「まさか、あの時の人間が生きていたとは」

「!」

「レイジ....」

扉の方から歩いてきたのは逆巻の次男
レイジだった

彼はシュウを睨む

「何故、貴方は私を責めないのですか?
どうせ、昔から知っていたのでしょう」

シュウは溜息をつく

「お前にどうこう言うつもりは無い」

「ッ....!!」
レイジは怒りの顔を浮かべる

「貴方はいつもそうだ、何でも分かったような顔をして....

なら、貴方は私を許せるというのですか?」

「ふざけるな

お前の事は許せない」

「っ!!でしょうね、なら何故!?」


「許せない....が、お前だけが悪いんじゃない。

止められなかった、俺にも罪はある。」

「シュウ....」
私は彼の事を少し勘違いしていた
彼は何だかんだ言って長男として、ちゃんと振る舞っているのだ

だが、レイジは何だか不満そうな顔をする

「....だから私は貴方が大嫌いなのです、昔から....

まぁ、いいでしょう。何れ貴方も分かるはずだ。本当に取り返しのつかない事になった時に、まだそんな甘い事を言っていられるでしょうか.. ..ね」
レイジはチラッと私の方を向く

そんなレイジの前にユーマが立つ

「おや。まさか、貴方がヴァンパイアになっているとは、私も驚きましたよ」

「チッ....」

ユーマは拳をあげる

「そうですね。貴方には私を責める権利がある。」

「ユーマ!」

ユーマは拳をレイジに向けて殴ろうとするが....

「クソッ!!」

ゆっくりと腕をおろす


「これは意外ですね。私は貴方を殺そうとしたのですよ」

ギリッ....
ユーマは歯を食いしばる

「....あぁ。俺はここでお前を殺したっていい。
村の事も許せない、
けどな
昔の俺は確かに死んだんだ....

俺はもう、エドガーじゃない....


"無神ユーマ"だ」




彼は憎しみや悲しみに囚われない


真っ直ぐな目をしていた



彼もやっと答えを見つけた

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