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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第12章 【徳川家康】Vampirism(ヴァンピリズム)





「どうしたの、千花…?」


まるで自分のじゃないような、掠れた弱々しい声。
思いのほか体力を消費するらしい…これからは体調を常に万全にしておかないと、なんて考えながら。
気怠い腕をなんとか持ち上げ、千花の頭を撫でてやる。


「家康が、もう目を開けてくれないのかとっ…そのくらい、深く眠っちゃってて…揺さぶっても、デコピンしても何の反応も無かったの!」
「…寝てるからって、デコピンは止めてよね」


じっとしていたら、段々気だるさも取れてきた。
千花も漸く落ち着いて、身を離したところでふと自分の胸元に視線を落とす…あれだけ深く噛み付かれた筈の傷は、もう塞がり。
まるでずっと前のモノのように、薄赤色が二つ並んで滲んでいるだけ。


二人して目を見合わせ、驚きながら。
ふと、千花の唇に乾いた血が滲んでいることに気付く…
手を伸ばし、親指で力を込めてぐい、と拭ってやると。
千花は目をつぶって、俺の成すが儘。
俺への絶対的な信頼を感じさせるその振る舞いに、忘れかけていた火が小さく燻り出す。


「千花」


小さく名前を呼ばれ、何事かと目を開けた千花を優しく押し倒す。


「次は、俺の番ね」


見る見るうちに真っ赤に染まっていく千花が、この期に及んで何か言おうと開いた口を。
今度は俺が、噛み付くように塞いでやった。



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