第2章 【徳川家康】God BLESS you
「あんな行き当たりばったりじゃなくてさ、もっと…素敵なやり取りにしたいんだよね」
「…たとえ、ば?」
くぐもった返事に、思わず笑ってしまいながら。しかし至極真剣な雰囲気を崩さないよう、それを抑えて。
「俺好みの香を焚いた、暖かい部屋でさ」
「うん」
「美しく着飾った千花の衣を一枚ずつ剥いで、紅を引いた唇に口付けて」
「う、ん…!?」
「あんたの望みを全て叶えてやる、一生忘れられないような夜にしてやりたい」
もう、返事は返せなくなってしまったらしい。恥ずかしさからだろう、わなわなと小さく震える布団を取り払って、そろそろ顔が見たいな、と手を伸ばす――
「…どーぞ、家康の、お気に召すまま」
そう、一拍遅れてほんの小さく返された言葉に。まだ布団を被っていてくれてよかった、と思ったのは言うまでもないだろう。